Taka-Tone

Jazz Tap Dancer Kawamura Takahide Official Home Page

[Taka-Talk]我が師匠JIMMY SLYDEへの想い その4

前回のJIMMY SLYDEへの想いの続きをお話しします。前回同様、HP開設の挨拶と重複する所もあると思いますがご了承下さい。
ご存知の方も多いと思いますがJIMMYが今年の5月16日に天に召されました。
彼の体調が悪くなったのは、去年の始め頃からだった様なんですが、僕から電話したり、JIMMYからも時々掛かってきてましたから、あまり心配しない様にしてたんですが、今年に入ってから、電話をしても全く繋がらなくなり、掛かっても来なくなりました。
ただ、JIMMYは普段から、気が向かないと居留守を使って、電話に出ないのは分かってましたから、居留守かな?と思ってたんですが、あまりにも繋がらないので、2月末ころ弟弟子のROCKYに電話をしたら「彼の体調は凄く悪いから、早く会いに来た方が良いと思うよ」と言われて、慌ててJIMMYに電話しました。
でも、やはり、何度電話しても、全然繋がらないので、手紙を書いたら、電話が掛かってきました。
その声は、ビックリする位、張りが無く瞬時に、体調の悪さを認識出来ました。そこで「すぐに会いに行きたい」と言うと「Takaには話しておかないといけない事があるから、来てくれるか?ただ、まだ寒いから4月末にしよう」と言われたので、はやる気持ちを抑えつつ約一ヶ月間待って4月25日に会いに行きました。
ここからは、その時のエピソードをお話しします。
ボストンに到着して一泊し、翌日ROCKYと一緒に、JIMMYが大好きなLegal Seafoodでミックスフライやクラムチャウダーを買ってJIMMYの家に行きました。
僕等が家に着いて、玄関のドアを開けると、寝室から「タカ!お帰り、こっちへ来なさい」と寝室から声がして、寝室に入ると、そこには膝を立てて、横になったままのJIMMYが居ました。
あまりにも痩せ細った彼の姿にビックリしましたが、そこは覚られてはいけないと思い「父さん!ただいま。」と言ってJIMMYの側に行きました。
すると彼は、自分で起き上がる事も大変な様で「起こしてくれ!」と僕に手を伸ばしてきたので、彼の身体を引き起こしたら、寝癖が気になるのか、枕元に置いてあった僕が昔プレゼントした帽子をチョコンと被って、杖を使いながらゆっくりとゆっくりとダイニングルームに移動したんですが、その時「良く来た、良く来た。」と僕の身体をポンポンと叩きながら微笑んでくれました。
もうそれだけで、来て良かった。会えて良かった。と思いました。
ダイニングルームに移動して、JIMMYとROCKYと僕の3人で、買って行ったシーフードを食べながら、僕や家族の近況や、加藤先生の近況を聞かれたり、ROCKYが献身的にお世話してくれて助かってるという話しを聞いたりしたんですが、話しをしてる時の目は、とても優しく、歳を取ったなぁという印象を受けました。
食事が終わるとリビングルームに移動して、僕がお土産に持って行ったフットマッサージ機の使い方を教えると、椅子に腰掛けてしばらく気持ち良さそうに使ってくれました。
ただ、彼の脚にはほとんど筋肉と言えるモノは残ってなく、本当に気持ち良かったのか分かりませんでしたから「痛くない?大丈夫?無理しなくて良いよ!」と言うと、親指をグッと立ててウインクしてくれました。
ボストンの滞在は、3日間と短期間でしたが、僕は毎日、昼過ぎから深夜12時頃までJIMMYの家で過ごしました。
そんなに長時間いると、JIMMYが疲れてしまうのでは?と気になりましたが、ROCKYに「彼は、Takaが今、ここに居る事が快適なんだよ。」って言ってくれたので、JIMMYが寝てる時は、部屋の掃除したり、ROCKYとJIMMYの話して、起きて来ると、僕が持って行ったTAKA TONEのライブビデオを見て、アドバイスを貰ったりたり、地下のスタジオで、練習してる音を聞いて貰ったりと充実した3日間を過ごしました。
ただ、時々、痛むらしく、骨と皮だけになってるJIMMYの身体を摩ったりもしました。
彼の痩せ細った身体を摩ってると、今迄のJIMMYとの思い出が頭の中を駆け巡ってきて、泣きそうになりました。
でも、彼は涙を見る事を嫌ってたので、グッと堪えました。そして、3日間なんてあっという間で、明日の朝には日本に帰るという3日目の夜、ROCKYと話しをしてると、JIMMYが起きて来て、まるでスタジオで僕に稽古をつけてる時の様にしゃきっと立って、「Taka、こっちに来なさい!」と言われたので、僕も、「Yes sir!」と言って、緊張しながら、彼の側まで行きました。すると、優しい目になって「抱きしめてくれ。」と言われたんです。
今まで、僕からハグを求める事はあっても、彼から言われた事は無かったので、ビックリしながら抱きしめると、耳元で「Taka! You are my successor! Don’ forget!」と言って貰って凄く嬉しかったんですが、本当にもう、会えないかもしれないんだと、悲しみが込み上げて来ました。
その後、JIMMYから写真を撮ろうと言ってきてくれて、写真に残しておきたい、という気持ちと、最後にしたくないから撮りたくない気持ちが入り乱れて複雑な気持ちでしたが、JIMMYからのメッセージだと思って、写真に残しました。
ただ、HPには公開しません。
彼の弟子だったという誇りと共に、僕の心の中に留めておきます。
僕は9月にTAKA TONE LIVE TOUR〜Tribute to JIMMY〜というJIMMYに捧げるライブツアーをやりましたが、国内7ヶ所全てのライブのトリでは『千の風になって』(Jazz Version)を踊りました。
その歌詞は皆さんもご存知の通りです。「私のお墓の前で泣かないで下さい。そこに私はいません。眠ってなんかいません。千の風になって、あの大きな空を吹き渡っています。」この歌詞の様にずっと見守っていて欲しい、見守っていてくれてると信じて頑張って行きます。
僕にとって、最初から最後まで、そしてこれからも、ずっと世界一のタップダンサー、それが
《DR.JIMMY SLYDE》です。

Tagged as: -->

Comments are closed.