[Taka-Talk]Taka special tune Tap shoesについて
僕が、タップス(金具)を取り付けられる前のタップシューズ(殆どがカペヂオK360ですが・・・)に、タップスを取り付ける為に、シューズに加工を施し、タップシューズを仕上げてる事をご存知の方々もいらっしゃると思います。
勿論、僕はタップダンサーであり、タップシューズを仕上げるリペア職人になりたいと思ってたワケじゃありませんよ。
仕上げる様になったのにはキッカケがあるんです。
僕がニューヨークに住んでた頃、カペヂオショップの中にブースを構え、タップシューズに加工を施し、タップスの取り付けをやってたリペア職人のピートが仕上げるタップシューズを履いてみて、凄く気に入り、それ以来、愛用する様になり、帰国後もピートに頼んでタップシューズを仕上げて貰ってたんです。
ただ、帰国後に、日本から注文し、送って貰うと、タップスを装着・・・つまり、仕上げたタップシューズは、関税で凄く高額になり、タップシューズが手元に届いた時には、約6万円位になってしまいました。
タップスを取り付けてないタップシューズ代金は、当時(約20年前)、$200(約2万円)を切ってましたから、いかに高額だったか?がお分かり頂けると思います。(というか、関税ってなんでこんなに高くするんだろう?)
流石に高額過ぎて頼み難いなぁ!と思って、日本のリペア業者数社に依頼して数足作ってみましたが、サウンドやシューズバランスの面で、どうしても気に入らなかったので「やっぱりピートに頼むしかないか!」と考えてた矢先、ピートが高齢の為、近々引退するという事を聞き「これは、自分で出来る様にならなきゃいけない!」と思って、ピートに教わる為に渡米して、加工手順、技術、その意味や注意点等を学びました。
とは言え、教わったら直ぐに出来る様になるか?と言えば、そうではないので、技術の向上を図る為に、東京のシューズリペアの店で働きながら革靴についての知識や加工技術を学んでたんですよ。
それが、約18年前の事で、当初は自分のシューズだけしか仕上げてなかったんですが、石川県の金沢市でタップを教えてる僕の彼女が僕の技術向上の為に頼んでくれる様になり、更に、彼女の生徒さん達のシューズも手掛ける様になり、それなりに上手く仕上げられる様になった頃には、我が師匠のJIMMYから「僕のタップシューズを作って(仕上げて)みてくれないか?」と頼まれて仕上げて以来、気に入って貰えた様で、亡くなるまでの数年間でJIMMYのシューズも3足仕上げたんですよ。
自信を持った僕は、その後、タップ仲間から頼まれれば仕上げる様になり、これまでに仕上げたシューズは500足を越えてるんです。
500足を越えてからは、もう数えるのをやめてますが、現在も月に多い時は10足、少なくても3足は仕上げてるんですよ。
自分で言うのもおこがましい気もしますが、ハッキリ言って凄く上手いと思います。(笑)
ただ、僕はあくまでも、タップダンサーであり、空き時間にしか作業が出来ないし、削る加工作業は屋外でやるので、雨の日があると作業が出来なく、ちょっと待って貰う事があるのが欠点ですけどね。
あっ!あと、仕上げるシューズは、サイズを確認してからじゃないと手掛けないので、東京にお住まいの方々は、フィッティングの為にお店に同行して貰う事になるし、地方にお住まいの方々は、予想出来る前後のサイズを数足送って、確認してから作業開始になるので、ちょっと面倒くさいかもしれませんけどね。
まぁ、ビジネスでやってるワケじゃないので、それはご理解頂ければ!と思います。
ちなみに、アメリカはタップの本場であり、昔からピートに限らず、タップシューズを仕上げられるリペア職人の方々が数名居て、職人によって考え方や手法が違いますが、ピートが仕上げるタップシューズの・・・つまり僕も同じですが、最大の特徴は、①タップス自体を削らない事と、②革を貼り付ける際に圧着機を使わない事です。
①は、タップスを取り付ける際、トウやヒールにタップスを取り付けてから、トウのコバ(フチの部分)やヒールブロック(踵部分)とタップスを同時に削れば、行程が少なくて済むので、早く仕上げる事が出来ますが、タップスを削ると音色が変わってしまう可能性が高くなります。
ただ、同時に削らなければ、下記の様な行程が必要になってしまい、仕上がりにも時間が掛かる・・・つまり手間が掛かります。
・ピートと僕
{タップスを仮止めして型を取る}→{タップスを外す}→{型通りにコバやヒールブロックを削る}→{左右の音にムラが出ない様にする為、接地面の革を少しづつ削り音を調整する}→{削った部分をコバインキを使って染色する}→{タップスを取り付けて、サウンド調整をする}(6行程)
・他の職人さんの多く
{タップスと接地面を密着させて取り付ける}→{タップスとコバやヒールブロックを同時に削る}→{削った部分をコバインキを使って染色する}(3行程)
②は、シューズのバランスを調整する為に革を貼り付ける時に施す加工ですが、タップシューズは一般的な革靴とは異なり、タップスを取り付けるので、繊細なバランス調整が必要になり、革を貼り付ける事があります。
その際、圧着機という機械を使って貼り付けると凄く楽な上、短時間で貼り付くので一般的ですが、そうすると本体の革を潰してしまう可能性があるという事で、接着剤を塗布して、コツコツとラバーハンマーで叩いて貼り付けるんです。
とは言え、そもそも、昔は革の鞣しが劣悪だったので、圧着機を使うと本体の革を潰してしまう可能性があったんですが、今の革は鞣しの程度が良いので、圧着機を使っても問題無いと思うんですけどね。
つまり、昔の名残ですけど、僕はピートから教わった通り実践してるんですよ。
という感じで、色々とこだわって仕上げてるんですよ。
一応、今日仕上がったばかりの高知の後輩、幸司君のシューズの写真を添付しておきますね。
①上から撮った全体写真(右はストレイナーに左は箱の上に置いてます)※このストレイナーは革やタップスを張り付ける際になくてはならない道具です。
②トウ部分のアップ(前の方に革を貼り付けて爪先の反り上がりを防いでます)
③ヒール部分のアップ(ヒールブロックをタップスに合わせて削ってますが、前まで達してないのは、シューズバランスを考えての調整です)