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[Taka-Talk]ビックリしてホッ!

先日出演した、僕の古巣JAM TAP DANCE COMPANYの公演での予想以上の好評価に、そして反響に驚いてます。

観に来て下さった全てのお客さんが、そう感じたのかは分かりませんが、実は、今回のJAMの公演では、僕と{松ちゃん}こと松本晋一さんが特別出演という形での二枚看板のショウでした。

ただ、大トリでソロを務めた上に、チームダンスもユニゾンもやって大活躍の松ちゃんに対して、僕の出番は、フィナーレを除くと、{Get up on the truck(Hoofers Line)}と自分で振り付けたソロのナンバー{shiny stockings}の2つだけと少く、お客さんは「えっ!たったのこれだけ?」と物足りなく感じてしまうんじゃないか?と心配してたんです。

それに、ソロナンバーは、{全く派手じゃない}というか、僕のタップサウンドやムーヴメントを表現する為、音源の曲音のボリュームも小さくしてたので、迫力という点は欠けてて「多分あまり受けないんだろうけど、これが僕の表現だから仕方ないよな・・・」って自分に言い聞かせてたんです。

実は、出演が決まった当初は、僕は自分のソロとして「この曲なら間違いなく受けるだろう!」と思ってファストテンポの軽快なビ・バップの曲を用意してたんですが、加藤先生が「気に入らなかったら別の曲で良いけど、希望としては、川村にはこの曲で踊って貰いたいんだよ!」って渡された曲が、最も魅せる事の難しいミディアムテンポのメロディックなスイングナンバー{Shiny stockings}でした。

この曲は、僕も大好きなMilt Hinton(b)Trioの素晴らしい演奏でしたし、「川村にこの曲を・・・」と考えて下さった加藤先生のご期待に応える意味もあって、この曲に挑戦させて頂いたんです。

ただ、その素晴らしい演奏を壊さない様に、身体の動きやサウンドをコントロールして踊るのは容易じゃなかったし、振り付けも何度手直しをした事か・・・。

たった一曲にこんなに苦労するとは思ってもいませんでしたよ。(笑)

ミディアムテンポが難しいと言うと、「えっ!そうなんですか?速いテンポの方が大変だと思いますど・・・。」と仰る方がいらっしゃるかもしれませんが、実はミディアムテンポが一番難しいんですよ。

例えば、{速い}もしくは{遅い}テンポの曲の場合、細かく速いステップを踏んでも、大胆にスペース(間)を開けても、魅せる事は難しくないんですが、ミディアムテンポだとその辺が微妙なんです。

悪戦苦闘して出来上がった振り付けは、個人的には気に入ってたし、納得出来るモノでしたが、色んな事を削ぎ落とした為に、めちゃくちゃシンプルになってしまったので、そのソロナンバーが好評だったのは予想外で、凄く嬉しかったです。

とは言え、好評だったのは、僕のソロナンバーの前後が両方ともファストテンポのナンバーだったので、メリハリが効いてたのもありますけどね。

加藤先生の演出は流石です!

そして、もう一つの出番の{Get up on the truck}(Hoofers Line)ですが、これは、我が師匠ジミー・スライドから弟子として取り組み方や手法を学び、受け継いだモノです。

ちなみに、この{Get up on the truck}は、40歳代後半だった頃のジミーが、チャック・グリーン、ロン・チェイニー、バスター・ブラウンといったタップダンサー(後にマスターと呼ばれる方々)達と共に、若き日の彼らにとって偉大な先人のタップマスター達に敬意を込めて始めたモノで、後に{Hoofers Line}と呼ばれる様になりました。

ただ、{Hoofers Line}は、横一列に並び順番に踊る様子を観た第三者が付けたネーミングであって、彼らは、自分達がやってたのは{Get up on the truck}だと言って、一線を画してました。

どちらも、横一列に並んで、「ホゥ!デェイヤー!(この言葉に意味はなく、あくまでも掛け声です)」と掛け声を掛けながら、一人づつ即興で踊って行きますが、決まったフォームや制限や具体的な意味を持たない{Hoofers Line}に対して、{Get up on the truck}には、決まったフォームや、「一つの列車に一緒に乗る=同じ釜の飯を喰う=刺激し合い、高め合う」という意味があり、女人禁制でした。

では、何故女人禁制だったのか?というと、当時の彼らは、40歳代から50歳代の男盛りで、男性は女性が入る事により、色気付き、浮かれてしまうから・・・という事だったようです。

きっと女性問題が多かったんでしょうね。(笑)

僕程度のレベルで、ジミー達の様な事が出来るとは到底思えませんが「Hoofers Lineの本当の意味や目的や手法を知ってるのは日本人では川村だけだと思うから、やってくれないか?」という加藤先生の発案でやる事になったんです。

また、その演目に一緒に踊るメンバーは、「川村がビビる位のメンバーを外部からも集めたい。」という加藤先生の考えから、浦上雄次君にメンバー集めを頼んで、日本のタップシーンの第一線で活躍する実力派のタップダンサー達が友情出演してくれて、熱いステージを繰り広げる事が出来ました。

{ビビる}というのは、自分が他の人と比べて優れてると思ってる時に、そうではない時の感情という事になると思いますが、僕は基本的に凄ければ凄いほど一緒に踊れる事に喜びを感じるので、ビビる事はないんですけどね。(笑)

もう20年位前になりますが、このGet up on the truckを我が師匠のジミーをはじめ、チャック・グリーン、ロン・チェイニー、バスター・ブラウンと一緒に踊った時は凄く興奮して、舞い上がってましたからね。

もう皆さん亡くなってるので、実現しませんが、ハニ・コールズ、ベイビー・ローレンス、バスター・ブラウン、サミー・デイヴィス・ジュニア、グレゴリー・ハインズといったマスター達とも一緒に踊りたかったなぁ!

マスター達と次元は違いますが、今回のGet up on the truckも、熱く興奮しましたよ。

あと、感想を下さった方々は、僕に対して言って下さってたので、僕の演目だけが好評だった様に聞こえるかもしれませんが、特別出演の松ちゃんが素晴らしかったのは言うまでもないし、その他メインではない出演者達も、これまでと比べて好評だった人が多かったですよ。(全員じゃありませんけど・・・笑)

観に来て下さった皆さん、ありがとうございました。

今後も、もっともっと喜んで頂ける様に頑張ります!

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