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[Taka-Talk]確かに細かいんですよね。その②(改訂版)

先日、僕のタップの教え方について、《僕の様に、細かく詳しく説明する人は少なく、これはタップダンサー目線ならでは…》と書いたところ、その事で『Takaさんから教わった事はないので、Takaさんがどれ位細かく詳しく説明されてるのか分かりませんが、僕の先生も細かく丁寧に教えてくれますよ。他人に教えるって、そういうものじゃないですか?』というメールを頂き、その文章に『もしかしたら、また僕の言葉が足りなくて、僕の意図する意味と異なる捉え方をされてしまったのかな?』と思ったので、その②を書く事にしました。

はじめに、僕が先日のコラムを書いた意図ですが、これまでに僕のワークショップや個人レッスンを受講された方々の『今までは、こんなに詳しく教わった事は無かった。』という言葉を受けて、僕がタップを教える時の手法や考え方について書いたつもりでした。

まず、僕がワークショップで教える時の手法から書きますが、一般的なタップスタジオで教わるモノとは異なり、レベルに応じてのクラス分けがありません。

というのは、僕が教える内容が、我が師匠であるJIMMY SLYDEから『プロ、アマチュアを問わず、タップを踊る上で大切な知識や技術』だと教わったTAP RUDIMENT(基本理論)を軸に進行するからです。

また、その基本理論は、とても細かく、深く、複雑で、基本という言葉は入ってますが、『何故スムースに出来ないのか?』や『どういう点に気を配るべきか?』という事に気付き、明確にする為に学び改善する為のモノですから、未経験の方々にとってはチンプンカンプンな事が多く、どちらかというと、タップ経験者向けの知識や技術だと言えます。

あっ!タップ未経験者にとっては無意味だ!と言うワケじゃありませんが、スムースに出来ない事に対して疑問や悩みが出てくるからこそ、TAP RUDIMENTを学ぶ事で、より具体的に、明確になってっくるワケですから、あえて経験者向けだと思うという事です。

次に、教える上での考え方を書く前に、一般的なタップスタジオで教えるモノがどういうモノなのか?という事からお話させて頂かないと、伝わり難いと思うので、そこから書きます。

一般的なタップスタジオでのクラスと言っても、各先生方のタップスタイルや考え方によって様々なので、一纏めにする事は出来ませんが、生徒さん達のタップに取り組むスタンスは、運動不足の解消を目的にした方々から、プロを目指す方々まで様々な為、それぞれの段階に応じて、基礎、初級、中級、上級という風に段階に応じてクラス分けされてる事が多いんです。

その場合、基礎クラスは初心者の方々の為のモノ、上級クラスは複雑なステップのみ学ぶモノとなる傾向にあって、タップ経験の長い方々は、基本的な仕組みや流れに気を配る事が疎かになってしまい、具体的には理解出来てない事が少なくないと感じてるんです。

なので、僕のレッスンは、《自分自身のタップに対して、上達する為に改善点を学ぼうとする方のみ》に限定して教えてるワケですが、指摘されてばかりで楽しくないと感じる方もいらっしゃる様で、一度だけ受講して二度と来なくなる方も少なくありません。

ただ、それは人によって求めるモノは様々なので、こうじゃないとダメだとは言いませんよ。

ちなみに、僕自身、その知識や技術を学んべた事で、より深くタップを理解し、現在の様なパフォーマンスが出来る様になりましたので、共感して下さる方々がいらっしゃる限り、今後もこの知識や技術を伝えて行こうと思ってます。

ところで、先日メールを下さった方は面識の無い方ですし、どなたから教わってるのか?は分かりませんが、その方の先生は、丁寧に細かく教えてらっしゃるという事なので、知識や技術も豊富な良い先生なんだと思いますし、その方が仰る通り、教えるという事はそういう事だと思います。

勿論、タップを教える先生方は、生徒さん達から受講料を貰って教えてるワケですから、一生懸命教えるのは当然の事ですが、そういう風に誠意を持って教えてらっしゃる先生方が必ずしも知識や技術が豊富であるか?というとそうではなく、明確なアドバイスをする為に常に学ばなくてはいけないんです。

と書くと、また誤解されてしまうかもしれませんが、タップを教えるにあたって、特別な資格や免許が必要なワケではないし、タップを教えてる先生方は『豊富な知識や卓越した技術を持ってる自信があるから教えてる』というよりも、『タップが好きで、教えるのも好きだから教えたい!』という先生方の方が多く、あまり豊かではない知識だったり、高くない技術であっても教えてる先生方はいらっしゃいますが、だからと言って必ずしも良くない先生だとは思いません。

現実、僕の彼女はタップダンサーとしてはプロではなく、その技術もありませんが、石川県を中心に富山県や福井県でタップを教えてまして、分からない事があれば、生徒さん達にキチンとアドバイスをする為に頻繁に『ここはどう説明すれば良いの?』と聞いて来ますし、僕のレッスンに限らず、東京で開催されるワークショップも貪欲に受講して、学ぶ意識は高く、とても良い先生だと思います。

また、そういう先生方は、彼女以外にも沢山いらっしゃるのは言うまでもなく、技術や知識が乏しければ、学ぶ事でキチンとアドバイスが出来るワケですし、生徒さん達の上達を願い、努力してる先生方は良い先生だと思いますし、僕のワークショップや個人レッスンを受講される先生方も少なくありません。

逆に、高い技術や豊かな知識があっても、いい加減でテキトーな教え方をする先生は、良くない先生であり、教える資格さえ無いと思います。

つまり、大切なのは、教える方が教わる方に対して、《どう接するのか》や《キチンとアドバイスする為に学ぼうとしてるのか》という事が大切だと言いたいんです。

恐らく、学ぶ事が無くなる事なんて無いんだと思いますから、僕自身も常に学んでますよ。

あと、今回のコラムの最後に、前回のコラムに《JIMMY同様にお世辞やおべっかは言わない!》と書きましたが、JIMMYがお世辞やおべっかを言わなかったのは、弟子に対してのみで、弟子じゃない人に対しては、『Good!』とか『Nice!』とか『OK!』と連呼して、ネガティブに捉えられてしまう事は口にしませんでした。

JIMMYは、紳士的で誰に対しても優しく、尊敬されたピースマンでしたが、弟子の僕らにとっては凄く厳しい方で、誉められる事は殆ど無かったんですが、弟子だからこそ、厳しくも的確な指導して貰え、知識や技術を身に付ける事が出来たワケですから、僕は願ったり叶ったりでした。

また、厳しくても、僕は誰よりも彼を尊敬してましたし、今もその気持ちは同じですから、他の方々にも、良くないと感じたモノは、勘違いしない為に『良くないから、ここはこうした方が良いと思うよ!』って言って欲しかったなぁ…とも思いますけど、そうすると嫌われてたのかな?…どうなんでしょうか?

ちなみに、僕自身は両手離しでJIMMYに誉められた記憶はなく、あえて言えるとすれば、JIMMYが亡くなる二週間前に言ってくれた『Taka,you are my successor. Don’t forget. 』という言葉だけでしたが、その言葉に大きな責任とやり甲斐を感じて、頑張って行けてる気がします。

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