Taka-Tone

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[Taka-Talk]恵まれてる筈なのに・・・。

(注)長文です。

先日、友人である役者の清水拓蔵さんが出演されてたお芝居を観て、ふと思った事があったので、書く事にしました。

そのお芝居は、現在を生きる若者が、雷に打たれ、終戦日間近の茨城県にタイムスリップしてしまい、終戦当日、特攻隊として飛び立つ・・・という様なストーリーで、{色んな事が自由に出来ない時代に生まれ必死に生きてた・・・つまり{恵まれてない筈の時代}と、{色んな事が自由に出来る今現在}を並べて「現在は恵まれてる筈なのに何故・・・?」という事を問い掛けられてる様に感じました。

そこで、{恵まれてる筈なのに・・・}という事をテーマに書く事にしました。

また、僕はタップダンサーなので、やはりタップダンスに焦点を合わせて書く事にします。

現在は、YouTube等で偉大な先人の動画を容易に観る事が出来たり、世界のトップクラスのタップダンサー達が来日してショウやワークショップが開催されたり、日本に居ながらにして本物に触れる機会や学べる機会が増えた事、そして1$が360円もした時代とは違い、渡米して技術や知識を学ぶ事もさほど難しい事ではなくなりました。

これは、とても素晴らしい事であり、それを証明する様に、日本人タップダンサーの技術は、飛躍的に向上してますし、プロを目指す方も、プロを名乗る方も随分と増えました。

更に、アマチュアの方でも「うわーっ凄い事をやってるなーっ!」とプロ顔負けのステップを踏む方も居て、そんな時、萱(かや)で切った様な僕の細い目は丸くなります。

特に東京においては、高水準なショウやワークショップが数多く開催されてますし、タップダンススタジオも沢山ありますから、本当に恵まれた環境だと思います。

なのに、その恵まれた環境である東京近県に住みながら、生かせてない方々のナント多い事か!

つい先日のJazz Tap Junctionを例に挙げると、これは東京でも滅多に観る事の出来ない高水準なショウでしたが、僅か400ちょっとの客席数にも関わらず、完売になりませんでした。

逆に、特筆すべきは、環境に恵まれてない筈の地方にお住まいのタップダンス愛好者や先生方が沢山お越し下さってた事です。

僕がロビーでお会いした方々だけでも、北海道、仙台、金沢、富山、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、高知、広島、山口、熊本、大分、沖縄等々。

僕が主催してたワケではないので、詳しくは分かりませんが、客席の10分の1位は、地方都市から来られた方々だったのではないでしょうか?

だとすると、10分の9は関東近県にお住まいの方々という事になり、そんなに少ないイメージは無いかもしれませんが、東京近県にお住まいの方々が、350~360名しかご覧にならなかったという事になります。

勿論、「諸事情で、観たくても観れなかった!」という方々がいらっしゃるのも理解出来ますが、それにしてもあまりにも少な過ぎる!と思わずにはいられませんでした。

{灯台もと暗し}というやつなんでしょうが、本当に勿体ない事だと思います。

また、この{恵まれた環境}というのは、少し角度を変えて考えてみると、更に鮮明になる様に思います。

それは、プロとして活動してる方や、プロを目指す方の、{情熱}や{探究心}や{向上心}や{覚悟や責任}等、精神論に掘り下げて行った時にも感じる事です。

①安易に出演舞台数を増やしてしまう。

②自分が舞台に立つ事は意欲的だが、他人の舞台には興味が涌かない。

③タップに対して、情熱や探究心や向上心を持ってるのではなく、生活する為の手段でしかなくなってしまってる。

まず、①に関して
熱いの想いで{高み}を目指してた頃の心を忘れ、舞台に立つ事が目的になってしまい、「舞台に立ってるだけで活躍出来てるんだ!」と考えるのかもしれませんがそれは錯覚だと思います。

{活躍してる}というのは{成果を出せてる(アウトプット出来てる)}という事であり、舞台に立ってる数は重要ではないのです。

次に、②に関して
①と少し似てる様に聞こえますが、そうではなく、{感受性というアンテナを持ててない(持とうとしない)}という意味です。

{アンテナを持ててない人}は、情報や知識をインプット出来ず、視野が狭く浅くなり、アウトプット出来る表現の乏しいモノになってしまうんです。

③に関して
これは、タップダンスをする事によって生活をしてる人・・・つまり、プロとして活動してる人が陥り易い事ですが、当初は、{熱い情熱}、{溢れる探究心}、{高い向上心}を持って真剣に取り組んでた筈なのに、仕事になった時から生活費を含め、お金を稼ぐ為の{やっつけ作業}になってしまってる状態です。

これでは、タップダンスが{人生を賭して取り組める素晴らしいモノ}では無くなってしまい、プロフェッショナルの仕事とは言えないんです。

恵まれた環境を生かすも殺すも{本人次第}。

ハングリー精神を持つ事が重要なんだと思いますけど、皆さんはどう思われますか?

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