[Taka-Talk]ナショナルタップデイ2015を観て来ました。
今年のナショナルタップデイは、キッズアンサンブルを加藤先生が担当されるという事で、どんなモノを作り上げるのか?を観る事が最大の関心事であり、楽しみにしておりました。
加藤先生は本当に凄い方なんですが、ご存知無い方もいらっしゃると思いますので、ステージの感想を書く前に、どういう方なのか?という事についてお話ししておく事にします。
まず、加藤先生は、約30年前にタップダンス専門のスタジオ{TAP INN (現TAP IN)}を作り、以後多くのタップダンサーや指導者を輩出してこられた方で、現在、日本のタップダンス界で活躍してる方々の半数以上は加藤先生の教え子だったり、教え子の教え子だったりで、本当に凄い方なんです。
また、タップを指導する先生以外にも、JAM TAP DANCE COMPANYというカンパニーを作り、振り付けや演出をされております。
また、後に我が師匠となるJIMMY SLYDEを日本に招聘する事が出来た唯一の方で、しかも一度や二度ではなく、四度に渡りです。
これは世界中を探しても、どこもありません。
JIMMYからも「日本に行くのは、プロフェッサー加藤が居るから!」と絶対的な信頼を得てました。
そういう僕は、1995年からJIMMYに弟子となりましたが、タップダンサーとしての土台を作って下さったのは、紛れもなく加藤先生であり、実に多くの事を学び、今現在も色々とご指導ご鞭撻を頂いております。
指導方法も個性的で、例を挙げると、キリがありませんが、加藤先生だからこそプロを育てて来られたのではないか?と思う指導方法というか、言葉を幾つかご紹介しておこうと思います。
①「振り付けや流れは俺が作るけど、踊るお前らは、それを覚えて、言われた事だけやっててもダメだ!俺は出来ないんだから自分で考えろ!」
②「舞台に出たら下手になると思え!」
③「自分の役割を把握しろ!」
④「余裕も無いのに、作り笑顔や余裕を見せようとするな!」
⑤「お前らは素人なんだから、凄い事は出来ない!という自覚を持て!」と言った直後に、「プロとして舞台に立つんだろ!考えて動け!」
ご紹介した例には「えっ?どういう事?」って思いませんか?
そうなんです。
ちょっと聞いただけでは、何だか矛盾する様に感じてしまう事も多いんです。
でも、解説すると、なるほど!と思う筈です。
①は、料理に例えると分かり易いかもしれません。
先生が提供するのは振り付け=食材であり、演出=調理手順であり、実際に細かい味付けをし、食べて貰うのは、僕らパフォーマンスする人なんですよ。
尚、先生が出来ないと言ってるのは、自分の身体を動かすのは自分自身だ!という意味です。
②は、舞台に出る事で上達すると思ってる方々は少なくないと思いますし、僕自身もそう考えてましたが、出る事で舞台経験は積めるモノの、その舞台での演目の練習に追われて、学ぶ事や基本練習を怠ったら、下手になるという意味であり、事実、それらを怠ると、ほぼ間違いなく下手になると思います。
③の自分の役割とは、舞台に出演する人には其々求められてる事や、やるべき事が異なるワケであり、必ずしも、一人で全ての事をやるワケではないという意味です。
④は、エンターテインメントとしての表現の中には、お客さんに喜んで貰える様に、笑顔を作り、楽しそうにパフォーマンスをする事を善しとするモノもありますが、先生は、真剣に物事に取り組む姿勢を大切にする方で、「余裕が無いんだったら必死にやればその真剣さが伝わるし、楽しければ、作らなくても自然に笑みがこぼれるんだから、取って付けた様な余裕や作り笑顔を見せるな!」という意味です。
⑤の矛盾する様な言葉は、自信過剰にならず謙虚に取り組み、人前で踊るという責任感を持て!という意味です。
等々、先生から教わった事は、まだまだ沢山ありますが、その指導方法はスタジオ経営ではなく、教え子達の上達や進歩を願っての純粋なモノで、{指導}とはこういう事なんだと思います。
先生は、いつも怒っててとても怖く、厳しかったので、僕らタップインの出身者は、随分と鍛えられましたよ。※正確には{怒られた}ではなく{叱られた}です。
そんな加藤先生も近年は、怒る事も、厳しく接する事も少なくなり、随分と円くなってしまってたんですが、今回のナショナルのキッズアンサンブルに関しては、厳しい加藤節が復活してたそうなので、「おっ!加藤先生の本気モードが見れる!」と凄く楽しみにしてたんですよ。
いよいよ本題の、実際の感想はどうだったのか?ですが・・・
「加藤先生はやっぱり凄い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
でした。
僕は、変な先入観を持ちたくなかったので、開演前には、プログラムを詳しくは観てなく、どの団体が、どのタイミングで出演するのか?や、演目は把握してませんでした。
まず、ショウが始まって4曲目で{東京リズムボーイズ}の二人が出て来てビックリ!
例年は、早くても二部の前半だったので、何だかいつもと違うという感覚がありました。
その後、キッズアンサンブル以外の加藤先生の演目をはじめ、幾つか見進めて行くうち、加藤先生が振り付け・演出をした演目を前にして、「うわっ!この演出、空間の使い方とか、ダンサーの使い方とか凄過ぎる!加藤先生!これはヤバイよ!」と思ってしまいました。
その演目が終わり、一緒に観に行ってた友人に思わず「これ、誰の(演目)?」って聞いた直後に客電が点き、加藤先生が振り付け・演出をしたキッズアンサンブルだったと気付いたんです。
その要因は幾つかあり、一つ目は、キッズアンサンブルとなってた割りには、キッズ体格ではなく大きな出演者が多かった事、二つ目は、全然キッズに対しての演出だとは思えなかったからです。
また、もう一つ要因を挙げるとすると、
長年、加藤先生に教えを乞い学んで来た僕でさえ、加藤先生の演目だとは分からない程に目新しかったんです。
加藤先生は昔から、ダンサーの実力以上の魅力を引き出す事に長けてますが、今夜は更にその気持ちを深める事になりました。
加藤先生、本当に凄過ぎます。
今後は、加藤イズムに影響を受け、活躍する若手が増えて来るだろうな!という期待が膨らむ素晴らしい振り付けや演出でした。
他にも良かった!と感じたモノが無かったワケではありませんが、色々と書くと、加藤先生の演目の素晴らしさに対する感動が、薄っぺらく聞こえるといけないので、あえて書きません。
明日も、昼、夜の公演がありますから、是非観に行ってみて下さい!