Taka-Tone

Jazz Tap Dancer Kawamura Takahide Official Home Page

[Taka-Talk]理想の音色を求めて

僕は、20代中頃から現在までの約25年間、トゥは{MASTER TAP}、ヒールは{DUO TONE}というタップスを愛用して来てまして、共にCapezio社製です。

このタップスは、同社の{TELE TONE TAP}というタップスと比べると、裏側の空洞が少なく、大きい音は出し難いんですが、空洞が少ない分、低音を出せるし、タップスの先端に対して両側面が少し薄くなってる形状から、フロアに接地する箇所によって少し音色に変化を付けられるので、とても気に入ってたんです。

でも、10年位前に生産中止になり、数年間までは、辛うじてデッドストックが少しあって使って来れましたが、5年位前からはデッドストックさえも見付けられなくなり「じゃあ、僕がMASTER TAPを越えるタップスを作ってやろうじゃないか!」と思い立ち、都内のみならず全国各地の鉄工所に足を運んで相談し、理想的なタップスを作ろうと試みました。

いざ作ろうとしたら、クリアしないといけない事が幾つかあって、当初考えてた以上に容易ではありませんでした。

まず、僕が愛用してきたCapezio社の{MASTER TAP}というタップスは、生産中止にはなってるものの、{patent}の文字が刻まれてまして・・・つまり、特許を所得してるという風に刻印されてて、その権利が残ってる場合は、作ってしまうと違法になってしまう可能性があるからです。

そこで、調べてみたところ、{patent}と刻印はしてるももの、特許権が消滅してるのか?、元々特許は取ってなくて、営業戦略として刻印してるのか?のいずれかだろうという事で、現在はこの製品の特許権は現存しませんでした。

ちなみに、特許権とは、他の会社が作る事を抑制する為のモノで、主に発明品と言われるモノらしく、タップシューズの金具や服の場合は、衣装権という権利に該当するらしく、そちらも調べてみましたが、衣装権としても権利は存在せず、「全く同じモノを作ったとしても、誰も文句を言う権利はない。」という事が判明しました。(笑)

とは言え、自分でタップスを作ろう!と思い立った当初から、{MASTER TAP}を参考にはするものの、このタップスを越える性能を持つモノを作ろうと考えてましたので、同じモノを作るのではなく、より理想的だと思えるモノにする為、形状や材質を変える事にしました。

次は、作ってくれる工場を探す事で、これが一番大変でした。

前述の通り、全国各地の鉄工所に足を運ぶ事になったワケですが、工場の多くは「ロット単位じゃなければ割に合わない。」との事で、試作品を作る段階さえも行かず、相談したり、アドバイスを受けるだけに数年の歳月を費やしました。

自分で使う為に作るワケですから、ロット単位で作るのは、金銭的にもキツいし、一生使うにしても年に一足としてあと30個もあれば充分なんです。

ロットでしか作れないんだったら、それはそれで仕方ないんですが、それにしても、先ずは試作品を作って、性能確認、使い勝手の良し悪し、摩耗テスト等、色々と品質チェックを重ねてからじゃないと「沢山作ったは良いけど、使い物にならない!」となるのが目に見えてますからね。

それに、何度も失敗出来る程のブルジョアではありませんから、先ずは試作品を作らなくてはいけないんです。(笑)

そんな中、今年に入ってから「では、まず試作品から作ってみて、量産するかどうかは、その後考えて行きましょう!」と言って下さる工場を見付けました。

打ち合わせの際、Capezio社製品を含め、数種類のタップスを持ち込み、其々のタップスが持つ形状や材質の違いを検証し、僕が作りたいタップスをデザイン画に起こしたりで、やっと先日、試作品第一号が出来上がりました。

まだまだ修正点は幾つかありますが、とりあえず、現時点でそれなりに納得の行くモノが出来上がりました。

名前は、{Sure Note TAPS}・・・つまり「明確な音色のタップス」にしました。

あくまでも、自分が使う為のタップスなので、名前は要らないんですけど、名前があった方が雰囲気が出ますからね。(笑)

尚、このタップスの特徴は下記の通りです。

①形状について

トゥ&ヒール共に、ネジ穴を五箇所にし、トゥ タップスは、先端に比べて両サイドを薄くし、ヒール タップスは、摩耗し易いエッヂ部分を厚くしました。

まず、ネジ穴を五箇所にしたのは、{TELE TONE TAP}をはじめ、三箇所の従来品に対して、二箇所多くする事で、密着性が向上し、更に多少のネジ穴の多少の弛みへの対応性も高くなるんです。

次に形ですが、トゥは{MASTER TAP}をヒールは{DUO TONE TAP}参考にさせて頂きました。

{MASTER TAP}は、トップに一箇所、外側に五箇所、内側に四箇所の合計十箇所・・・つまり外側が少し長いんですが、そうする重要性は感じないので、両サイドを均一に変更し、{DUO TONE TAP}は両サイドに三箇所づつの合計六箇所あり、ネジ穴の弛みにも対応性は高いんですが、ヒールエンド中央部分にもネジ穴が欲しかったので、ヒールエンドに一箇所、両サイドに二箇所づつの合計五箇所にしました。

つまり、トゥもヒールも五箇所づつのネジ穴となります。

②材質について

アルミ合金ではなく、別の材質の合金を採用しました。

従来品の多くは、アルミ合金を採用してまして、アルミ合金は高音で響くのが利点でして、更に安価なのも魅力的ですが、低音の引き締まった音が好きな僕には、高音過ぎるので、別の材質にしました。

えっ?

材質は何かって?

秘密です。(笑)

それはともかく、このタップスの音色は、僕がタップを披露して行く場で、聴いて頂ける事になると思いますので、お楽しみに!

-->

Comments are closed.